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oblivion日記


by Fastred

第二話 Mazoga The Orc

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「お目にかかれて光栄です伯爵陛下、私のような旅の者にできることがあれば、なんなりとお申し付けください。」

牢獄を訪問したその足ですぐに引き返した俺は、衛兵にマゾーガの件で来たことを伝え、伯爵との謁見に成功していた。

「よくぞ、まいられました。私はマリウス・カロ、レヤウィンの領主です。レヤウィンへの奉仕にまいられたとか?」

頭の禿げかかった領主、マリウス・カロ、 彼がすぐれた統治者であるのは多くの人が認めるところであり、彼の治めるレヤウィンがブラックマーシュに隣接していながらも、おおむね高い生活水準を保っているのも、彼の力によるところが大きいのだろう。実際には奥方が優秀で、旦那である伯爵はそれに従っているだけとの噂もあるが。

「ご存じのとおり、騎士を名乗るマゾーガというオークが、ここレヤウィンの城に駐留しているのですが、用件を言おうとしないのです。彼女が何のつもりでここにいるのか、突き止めて私に報告してください。そうすれば、あなたにふさわしい報酬をとらせましょう。」





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「お前が領主か?」

「さっきちがうと言ったろ、領主殿の使いだ。」

門のところに戻った俺がマゾーガに声をかけると、彼女はさきほど言った言葉を繰り返した。

「オークのマゾーガね、それがフルネームってわけじゃないだろ?」

「私は、オークだ。岩の下で生まれ、両親はいない。性は必要ない。」

似たような境遇ってわけか、とはいえ俺は「ブレトンの」と名乗る気はないけど。
俺が黙っていると、奴はこう続ける。

「貴様は、騎士に対する礼儀を知らんな。こう言え、Yes,Sir Mazoga」

パイナップルみたいな頭しといて何が騎士だとのどまででかかったぐっと飲み込んだ。この手の輩はうまいこと乗せておくに限る。第一これは仕事のためだし。

「Yes.Sir Mazoga」

「それでいい、それを忘れるな。」

やれやれ、まぁ機嫌は損ねずに済んだようだし、少しずつ探りを入れていくとしよう。」

「それで、騎士というのはどういうことです?」

「私は主なき騎士だ。なにか問題があるか?」

はい、ここはひとつ我慢して。

「No、Sir Mazoga」

俺の態度に満足したのか、”主なき騎士、Sir Mazoga”は私めにご命令をくださった。


「ウェーバン=ナというアーゴニアンを探せ、このあたりに精通したハンターだと聞いている。私が会いたがっている、ここに来るように伝えろ。」





おいいつけに従いウェーバン=ナを探すために町に出る、だがもちろんそれだけじゃない。さっきマゾーガと話ている時、その後ろを公爵夫人の侍女長であるヒルダラ・モスリルが通り過ぎていったのだ。
公爵夫人の指輪を探す上で彼女から情報を聞きださなければならないと考えていたが、彼女が公爵夫人の側から離れることは非常に少ない。ようするにこのチャンスを逃す手はない、というわけで彼女に接触しようと考えたのだ。

城を出て彼女を探すと、すぐそこで歩いているヒルダラとでくわした。

「こんにちわ、失礼ですが。侍女長のヒルダラ殿では?」

俺が声をかけると彼女は微笑み

「あら、公爵様の依頼を受けられた冒険者の方ね」

と応じた。なかなか記憶力はいいらしい。

「奥方と一緒でないのは珍しいですね。」
と尋ねると

「えぇ、時々お暇をいただくんですわ、そうね、二年に一回くらいかしら。」

意外に冗談が好きらしい。
旅先で仕入れた冗談、冒険の話を聞かせて見る。そういった話は好きらしく、次第に打ち解けていくのを感じていた俺は、指輪のことを切り出すタイミングをうかがっていた。
すると彼女は時計台のほうを見て

「あら、こんな時間。わたくしもう帰らなくては。奥様は私が時間通りに戻らないと不機嫌になられるんですわ。」

そういうと、俺に会釈をしその場を去ろうとした。俺は彼女が背を向けた隙に、後押しとして魅了の魔法をかけるとこう呼びかけた。

「奥方といえば、なくなっていた指輪が見つかったとか。おめでとうございますとお伝えください。」

彼女は振り向くと
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「えぇ、そうなの。奥様ったら大喜びで、お風呂の時と寝る時以外は常に身につけてらっしゃるのよ。それではまた声をかけてくださいましね。」

と答え立ち去って行った。


首尾は上々、侵入方法は後々考えることとしても、時間は公爵夫妻が確実に眠りについている深夜で決まりだ。俺は予想以上の成果に満足しながら、ウェーバン=ナの家に向かった。






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「マゾーガってオークが俺に会いたがっるって?その女はおれが行くと思ってるのかね。」
俺が事情を話すとウェーバン=ナは言った。
「俺は彼女を知らないぜ。無視したほうが賢いとおもうがね。」
もっともだ。確かにいやな気分になりたくなければ、あの手のタイプには付き合わないほうが得策だ。だが、ここで引いてしまえば、今回の件はすべてなしになってしまうかもしれない。そうすれば計画はパーだ。俺は何か言おうと口を開きかけたが、その前にウェーバン=ナのほうがしゃべりだした。
「でもまぁ、賢く生きてたって何も学ぶことはなかったしな、あんたはいいやつみたいだし、何なのか確かめに行ってみようと思うよ。ありがとな。」

ウェーバン=ナについて城に戻ると目ざとく見つけたマゾーガが彼に話かけ、会話が始まった。
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「お前がウェーバン=ナか?」
「あぁ」
「釣り人岩というところに行きたい。どこにある?」
「Leyawinの北、6時間ほどあるいたネベン湾の東っかわ、陸地の突端だな。」
「そこに連れて行け、今すぐに、急いでるんだ。」
「なぜ?」
「それは、貴様には関係ない。」
「なぜか言わなきゃ、どこにもつれてはいけんよ。」


話は当然平行線、となるとマゾーガの矛先は俺にむくわけで


「アーゴニアンは私を釣り人岩に連れて行かない。だからお前が案内しろ。」


とこうくるわけね。
いまさら反論する気もなく、黙ってうなずいただけの俺にマゾーガは念押しをした。

「モーゲンという奴がそこで野営をしている。私は奴と話をする。そうすれば、次に何が起こるかわかる。」

その様子じゃ楽しくおしゃべりして、それで解散ってわけじゃなさそうだ。

「いいか?奴と話をするのが第一だ。歯をへしおったり、頭を切り飛ばしてはならない。いいな?」
 


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城に出ると、外は快晴。ウェーバン=ナは6時間かかるとか行ってたし、さっさといってすましちまおう。

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ついたころには、すでにどしゃ降り。しかし、Mazogaはそれを意に返すこともない様子で、まっすぐ半裸の男に近づいていく。

「私を覚えているか?」
「誰だ貴様。」
「私はマゾーガ。お前はラ・ヴィンドラを殺した。」
「何のことだ。」
「嘘吐きの悪党め、ラ・ヴィンドラを殺した。次は私がお前を殺す!」

マゾーガはそういい捨てると剣を抜き、その半裸の男にいきなり斬りかかっていく。
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事態はいきなり乱戦となった。確かに彼女の言うとおり会話が終わったときには、俺は状況を理解していた。しかしその時にはすでに二人のカジートと斬り合いを演じるはめになっていた。
この二人はなかなかの手練で、いきなり襲われた俺は防戦一方に追い込まれてしまう。
ようやく一人は仕留めた頃には、こちらも深手を追ってしまっていた。
俺は体制を立て直すべく回復魔法を唱えようとしていたが、そこに気合いの入った掛声とともに緑色の塊が飛び込んできてカジートを切り伏せ、あたりを雨音のみの状態に戻した。
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俺は荒れた呼吸を整え彼女に礼を言おうと近づいたが、それに先んじて口を開き、すべてを説明し始めたのだった。
第二話 Mazoga The Orc _a0108596_1781446.jpg彼女は語った。マゾーガの友人であったラ・ヴィンドラがモーゲンの犯罪を目撃しそれをガードに通報したこと。そしてそれを知ったモーゲンがラ・ヴィンドラを殺し、逃亡したこと。
マゾーガは彼女の復讐をするため騎士となったのだと言うことを。




「あなたは親友だ」
彼女は最後にそういうと、土砂降りの中レヤウィンに向かって歩いて行った。
by Fastred | 2007-08-27 19:25 | oblivion日記